牛乳のコクやうまみの正体は「成分の調和」
人はなぜ牛乳を飲むのでしょうか?健康にいいから?背を伸ばしたいから?それとも美容のため?でも一番はやっぱり「おいしいから」ではないでしょうか。
牛乳のおいしさはじつに独特。あのまろやかさやコクの秘密は、牛乳の中で極微細な粒子となって分散している「乳脂肪」と「たんぱく質」によるもの。ほのかな甘みは、牛乳に含まれる糖分「乳糖」によるものです。さらにその他の微量成分が調和して“牛乳らしい味”をつくっています。
まろやかさの正体に欠かせない乳脂肪
なかでも乳脂肪は、牛乳特有の“まろやかさ”を生み出すのに欠かせない成分。種類別「牛乳」は、乳脂肪分が3%以上、水分と乳脂肪分以外の「無脂乳固形成分」が8%以上と決められています。よくある「低脂肪牛乳」は乳脂肪分の一部を減らしてあり、「無脂肪牛乳」は乳脂肪を取り除いてあり、いずれもさっぱりとした味わいになっています。
しかし裏を返せば、牛乳嫌いの人が必ず言う「舌にまとわりつく、べっとりした感じ」も乳脂肪です。これが好き嫌いの大きな分かれ道になっていますね。
均質化しない牛乳もある
牛乳の製造過程のなかには、乳脂肪の粒子を細かく砕く「ホモジナイズ(均質化)」とよばれる作業があります。牛から搾ったばかりの生乳は乳脂肪の大きさがバラバラで、しばらく置いておくと、乳脂肪分が上に浮き“クリーム状の部分”と、その下の“水分の多い部分”に分かれるからです。ノンホモ(ノン ホモジナイズ)と呼ばれる、均質化をしていないびん牛乳などで見たことがある人も多いでしょう。上の部分はほぼクリームなので濃厚なコクとうまみが味わえ、下の方はさっぱりとした低脂肪乳になっています。
カドのない脂肪球が、牛乳のまぁるいおいしさに
一般に売られている牛乳は、専用の機械で高圧で押し出すことによって、乳脂肪の粒子を細かく均等にしています。これにより飲んだときの口当たりがなめらかで、ひと口めから最後の1滴まで同じ味わいを楽しむことができるのです。
目に見えない小さな無数の脂肪球が、まろやかでカドのない“まあるい”おいしさの秘密なんですね。気持ちまでほっこりなごむ、やさしい味わいです。