生きてるとか死んでるとか、菌の状態はあまり関係ないらしい
菌を特定するだけでもハードルが高い
コマーシャルを見ていると「乳酸菌の力」とか「ヒト由来のビフィズス菌」とか「植物性だから」とか「免疫ケア」といろいろな言われ方をしていて、いったいどれがいいの?と迷ったことはありませんか。そもそも菌の詳細な説明があるのは大手企業ばかりで、食べることができ、食品の味をそこねず、ムラなく製造でき、かつ人体に有用な菌を探して研究するには、膨大な時間とお金と専門のスタッフが必要なのです。そのため、実際は菌の名前やその説明すら書かれていない乳酸菌商品もたくさんあります。しかし皆さんに開示できる情報が多いからといって、それが全員の体にあうかどうかは別の問題です。
腸内環境に住むのは、善玉菌・悪玉菌・日和見菌の3つ
腸内環境とは小腸と大腸のことですが、人間の腸内には100兆個とも言われる無数の菌が常在していて、多すぎるためにすべての名前と役割まで解明できていません。
乳酸菌とビフィズス菌は、どちらも腸内にいる「有用菌(ゆうようきん)」や「善玉菌(ぜんだまきん)」ですが、乳酸菌は酸素のある小腸や自然界に広く存在しており、ビフィズス菌は酸素のある所では生きられないため主に人や動物の大腸の中に生息しています。それ以外には大腸菌やウェルシュ菌のような「有害菌(ゆうがいきん)」「悪玉菌(あくだまきん)」と、どちらでもない「中間菌(ちゅうかんきん)」「日和見菌(ひよりみきん)」がいます。
「腸活」はカンタン、大勢につられやすい日和見菌を味方にすること
まるで人間の話のようですが、腸内常在菌の半数近くが日和見菌といわれ、大勢につられやすいと言われています。そして「腸活」とは、善玉菌の種類と量を増やして大勢に流される日和見菌を巻き込み、腸内環境をいい方向へもっていきましょう、というシンプルな多数派優勢理論です。優秀な菌、というのがあるかわかりませんが「選抜された少数精鋭」だけではあまり意味がないのです。
いい状態を維持するのが腸活
いい腸内環境というのは、たとえば毎日一定量の排便がスムーズにあり、おならが臭くなく、ニキビや肌荒れなどがないことです。分かりやすいですよね。なので菌のチョイスに悩みすぎて手が出ないよりは、身近なものからどんどん取り入れる方が近道です。体調がいいと変化を感じるまで1~2週間は食べ続けたほうがいいといわれています。
実は菌が生きたまま腸まで届くことは非常に稀
ちなみに食べた菌が生きたまま胃を通過して腸まで届くことは非常に稀なようで、菌が生きていなくとも、その菌体の成分や、菌の活動により産生した成分が、なんらかの有効な働きをします。ですので「食べても無益」ということは無く、タブレット錠やカプセルなど形状が違うことも心配にはあたりません。ヨーグルトは「牛乳が細菌に消化された状態」とも呼べますので、食べることで乳の成分と菌を一緒に体内に取り込めます。消化する力が衰えた高齢者などには一石二鳥ですね。お味噌やぬか漬け、納豆などの日常食にプラスして、いろいろなヨーグルトを食べてみてくださいね。