どこからどこまでが“乳製品”?
~牛乳(生乳)が姿を変えて、味わいを変えて、さまざまに変身~

最近では若い人たちが“デニム”といっても、素材のことか、形状のことか、衣服のことかおじさんおばさんにはパッとわからないように、“乳製品”っていう言葉も、聞いたことはあるけれども、どこからどこまでのこと?と思う人は多いのではないでしょうか。
「乳製品」とは食品衛生法の中の「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」(略して乳等省令)で成分規格を定められており、基本は牛や山羊、めん羊などから搾った乳と、それらを加工したものを指します。そこでは、乳の成分や規格はもちろん、乳等省令以外にも添加物の成分や、製造方法から容器包装、そして牛の飼料や、彼らの医薬品まで様々に定められています。ここでは正確を期すことへのこだわりをいったん横へおき、わかりやすいようにざっくりとご説明します。
 
牛から搾った生乳を、殺菌と乳脂肪を均質化したのが牛乳です。その成分のうち乳脂肪をあつめたものがクリーム、牛乳に乳酸菌やビフィズス菌などを加えて発酵したものがヨーグルト。牛乳の固形分、主にたんぱく質を熟成させたものがチーズと呼ばれ、ナチュラルチーズと、加熱・加塩して発酵を止めたプロセスチーズに分かれています。また、牛乳の乳脂肪分を練りあげてまとめたものがバター。これらが、皆さんがスーパーなどでよく見かける「乳製品」で、水分から固形までのものが中心です。
 
また珍しいところでは、酸や酵素の働きで豆腐のように寄せ固めた牛乳の固形分から分離した水分の方を「ホエイ」といい、ヨーグルトの上澄み水分も同じく「ホエイ」です。その水分をさらに飛ばすと水に混ざっていた水溶性のたんぱく質が粉末となり、お菓子や加工食品の原材料名などで見かけるホエイパウダーになります。ここまでは乳製品です。食肉などで聞くホエー豚というのは、豚さんの飼料にホエイやホエイパウダーを与えたもので、この豚肉は残念ながら乳製品ではありません。またコーヒーフレッシュや一部のホイップ済みクリーム、マーガリンなども油脂ですので、乳製品ではありません。これらは一例ですが、製造をさかのぼれば生乳を元としており、そこから広がった製品を総称したものが「乳製品」です。
 
また話はちょっとそれますが、生乳は牛乳や乳製品になる前に一度加熱殺菌されるため、おなじみの「生クリーム」は、じつは「生」ではないとか・・・。「生クリーム」は慣れ親しんだ俗称で、正式には「クリーム」と呼びます。
 
参考乳及び乳製品の成分規格等に関する省令
 

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