すげぇいいこと!な感じに見えるトリック?
最近は当たり前の風景になったコンビニでのドリップコーヒー。先日、某大手コンビニチェーンで、カフェオレのポスターに“生乳100%”という表記を発見しました。ヨーグルトにも“生乳100%”という製品をみかけることがありますね。これは牛乳とヨーグルトによって多少解釈が異なりますが、真実はシンプルです。みなさんはどのように理解していますか?
カフェオレとは「コーヒーに牛乳を混ぜたもの」
カフェオレとは「コーヒーに牛乳を混ぜたもの」のことですね。
コーヒー側の種類定義は横に置くとして、牛乳は“生乳100%”と呼ぶ必要はありません。牛乳に使用できる原材料は「生乳」のみですから。「生乳」に何も足さず、何も引かず、殺菌し脂肪分を均質化したものが牛乳、正確に言うと「種類別 牛乳」です。この時点で「牛乳とは“生乳100%”のもの」になります。
コンビニでアピールしていた“生乳100%”のカフェオレは、コーヒーに「生乳100%」の牛乳を、100%使用したカフェオレ、ということになります。間違いではありませんが、くどくて紛らわしい。「美しい美人」「勝つための必勝パターン」といった感じでしょうか。
なぜこのような表現をするのか
例えばコンビニの冷蔵庫に入っているカップ入りコーヒーには、「牛乳」が入っていないカフェオレや、「いちごミルク」などと呼ばれてすでに混ざって製品化している、牛乳とは違う飲料がたくさんあります。また、コーヒースタンドでブラックコーヒーを買った時「ミルクはいかがですか?」と尋ねられても、牛乳が出てくることはほぼ無く、渡される「コーヒーフレッシュ」は植物性油脂に乳化剤を加えてトロリとさせたもので、牛乳でも乳製品でもありません。「ミルク」は解釈に幅があっても「牛乳」にはルールがあるのです。それが分かりにくいから、牛乳と呼ぶよりも「生乳100%」と表現しようと考えたのでしょう。
参考リンク:「牛乳」とは?に、奥ぶかーい定義がある
この話を「ヨーグルト」に当てはめてみると?
ヨーグルトについてはどうでしょうか。日本では乳等命令(にゅうとうめいれい)により、乳を中心とした原料を微生物で発酵させたものがヨーグルトで、すべてが牛乳(つまり生乳100%)から作られているわけではありません。ちょっと難しく言えば、原料乳に無脂乳固形分が規定量含まれていれば、脱脂粉乳やクリームなどの乳製品を使用して製造してもよいのです。菌が活躍してこその発酵食品ですから。でも実際には“生乳100%”のヨーグルトもスーパーなどで見かけます。必要な殺菌や均質化のプロセスを経ても、それでも生乳だけを使うことを選んだ商品、ということです。それは製造メーカーの創意工夫や企業努力の表れとして、新鮮さや味わいの違いにアピールしたくなるのも当たり前のことでしょう。
参考リンク:「プレーンヨーグルト」って何が「プレーン」なの?
「ミルク」はゆるい表現OKでも「牛乳」にはルールがある
お店やカフェなどで判断がつかない時は、製品表示をみたり、お店の人に「ミルクというのは牛乳のことですか?」と聞いてみたりしましょう。ちゃんとした食品関係者ほど「ミルク」と「牛乳」を書き分ける理由をよく理解していますので、確実な意思疎通にはこれが一番です。
そして新鮮な牛乳が入ったカフェオレやヨーグルトを日々おいしく食べられるということは、健康な牛さんが今日も元気に日本のどこかで搾乳させてくれているということの証です。それを頭のほんの片隅にでも置きながら、カフェオレやヨーグルトを手に取ってくれる人が一人でも増えることを願ってやみません。
参考リンク:バルククーラー|搾乳した生乳を冷却・冷蔵する貯蔵タンク
参考リンク:高知育ち 乳しぼりをした日がわかる低温殺菌牛乳(ひまわり乳業)|牛乳飲んでみました