育成牛(いくせいぎゅう)| お母さん牛になる前の期待の新人たち

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身体能力を引き出す飼料ですくすく。育成舎で大切に育成される

最初の分娩をするまでの若牛(わかうし)のこと

乳用牛の場合、生まれてから最初の分娩をするまでの若牛は一般的に「育成牛」と呼ばれています。初めて分娩をするのは最短で2歳ころですから、育成期間は約2年です。
育成期間は牧場の飼養管理から見るとさらに細分化され、誕生から離乳するまでの赤ちゃん牛を「哺育牛」(ほいくぎゅう)。離乳から初回受胎するまでの牛が「育成牛」で、受胎から初産までの牛は「初妊牛」(しょにんぎゅう)と区別されています。育成牛たちは、若牛だけがいる育成牛舎で飼養され、それぞれの時期に必要な飼料を与えられて育ちます。

育成期間の管理は最も重要

いずれの牧場でも遺伝子を検討して交配するので、牛たちは牧場が求める潜在能力を秘めています。そしてその能力を引き出すも出さないも、育成期間の管理にかかっていると言ってもいいほど。
栄養をしっかり摂って妊娠しやすい健康体にすること。そして搾乳牛となった時にたくさんの粗飼料を食べられる消化器や、丈夫な骨格を作っておくこともこの時期の課題です。肥満になり乳腺に脂肪がついては、お母さん牛になった時、泌乳量に影響するので適度な運動も必要です。

公共や民間の「育成牧場」に預けるケースも多い

こうして育成牛は生後12カ月で体重300kgくらいまで発育します。それでも成牛の半分ほど。まだ体高も体長も小さめですが、14~16カ月には種付けをし、18カ月ころには成牛に近い500kgくらいまで増体します。
育成牛の飼養も重要なだけに、搾乳牛と同時に育成牛も管理するのは大変なことです。そこで多くの牧場が、公共や民間の育成牧場に育成牛を預け、労力とコストの削減を行っています。育成牧場に預けられた育成牛は、種付けをしてもらい受胎をしてわが家である牧場へと帰ってきます。

集団生活をしながら育つ、育成牧場の育成牛

育成牛は人間でいえば10代の青春ざかり。育成牧場の丘の上からスキップをしながら餌場まで駆け下りてきたり、姉妹どうしで並び顔を寄せ合ったり…。若牛らしい無邪気さを見せてくれます。