牛のふん尿は【堆肥(たいひ)】や【液肥(えきひ)】に変えられ、土に還っている
ホームセンター等で販売されている家庭菜園用の堆肥も、牧場のふん尿が原料

~乳牛1頭が1日に出すふん尿はなんと60kg。この処理と有効活用も酪農家の仕事~

 
乳用牛は乳を出すため大量の水を飲みます。そのため出るふん尿も大量です。ですからどこの牧場にも必ず、規模に合ったふん尿処理施設があり、環境に配慮した方法で処理が行われています。
 
処理の仕方でもっとも多いのが堆肥化と液肥化です。
 
堆肥とは、家畜ふんの中にある有機物を微生物の力で分解・発酵して作る土壌改良資材のことで、悪臭もなくフカフカな土のように見えます。堆肥は牛のふん尿をまず液体と固形に分け、固形分に敷料のわらやオガクズ等を混ぜてから堆肥舎に積み上げて、2か月から6か月ほど発酵させて完成させます。
 

堆肥舎に積まれた完熟堆肥。最初の発酵時は60度以上の高温となり、有害物質や雑草の種も死滅します
 
このように手間暇のかかるものですが、土に入れると土がやわらかくなり微生物も増えて、植物が元気に成長するそうです。堆肥中の肥料成分はそう多くありませんが、疲れた土壌を回復させる力に優れています。
 
一方、液肥とは文字どおり牛ふん由来の液体有機肥料のことです。乳用牛のふん尿は「スラリー」と呼ばれるトロトロ状態で、これをこのまま貯留槽に入れて10日間ほど保管をすると臭気や有機物が分解され、窒素の豊富な有機肥料となります。堆肥に比べて作る時間や手間がかからないことも特徴です。
 
円形の建物が貯留槽。乳牛のふん尿を液肥にする施設です。手前には堆肥が見えます
 
土壌の力を回復させる堆肥。そして牧草の栄養となる液肥。どちらも貴重な農業資材です。
草地を持つ牧場は、自家で作った堆肥や液肥を飼料用トウモロコシ畑や牧草地に散布して活用することができます。
一方、草地を持たない牧場は、作った堆肥を畑農家に譲ったり、肥料会社に納入したりして消化しています。
 
牧場が堆肥や液肥を牧草地に散布するのは、おもに春先や秋です。発酵や分解によって悪臭はありませんが、やはりこの時期だけは酪農地域に特有の匂いが漂います。
 
ある酪農家の奥さんが言っていました。「ちょうどゴールデンウィークのころがスラリー散布(液肥散布)のタイミング。せっかく来てくれる観光客に匂いで迷惑をかけていると思うと申し訳なくてね」と。
 
酪農地域を知らない人は、堆肥や液肥の匂いに少々驚くかもしれません。でも、堆肥や液肥は循環型農業を可能にする大切な資源です。おいしい牛乳の副産物でもあります。それら全部を含めて、牛乳のふるさとだと受け止めてもらえたらうれしいです。
 

 

 

 

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