大部屋生活の「フリーストール牛舎」は、牛さんたちが自由に歩き回ることができるし、酪農家にもちょっと優しい。
牛舎の様式は大きく2種類、こちらは大部屋タイプ
牛舎の形式は、牛舎内で放し飼いをする「フリーストール牛舎」タイプと、牛の居場所が個別に仕切られている「繋ぎ牛舎」に大きく分けられます。
「ストール」とは本来「肩掛け」の意味で、「繋ぎ牛舎」が肩掛けのような柵で牛を固定していることに由来しています。そのことから牛舎設備は、「区切り柵」全般をストールと呼ぶようになりました。
「フリーストール」とは「区切り柵で制限しない」
「フリーストール牛舎」とは「区切り柵で制限しない自由な牛舎」ということ。牛さんが自由に歩き回れるスペースがあることが最大の特徴です。といっても、まったくストールがないわけではなく、牛舎内のベッドスペースが、ストールで一頭分ずつに区切られていることも特徴です。
休息時、牛さんたちは好きな個別ベッドに入って横になっています。そしてこのベッドも、それぞれ牛たちが「自分の場所はココ」と定位置を決めているようです。
酪農家の労働時間を軽減
酪農家の労働時間を軽減できることも「フリーストール牛舎」のメリットです。
搾乳時は、牛がミルキングパーラー(搾乳専用施設)へ移動して時間効率良く搾乳ができるうえ、給餌やふん尿処理も大幅に省力化できる施設設備だからです。そうした特徴から主に50頭以上の多頭牧場で用いられてきました。
牛には自由な空間も、獣医にはちょっと大変
このように牛は自由に動け、牧場スタッフを重労働から解放してくれるいいことづくめの「フリーストール牛舎」ですが、どうやら一部の職種には重労働を強いているよう…。
「ここだけの話、フリーストールは目的の牛をつかまえるまでが大変でさ。僕は繋ぎ牛舎の方が好き」とは、ある獣医師の告白。
そうか、牛たちはいつも入り乱れていますからね。