牛の仲間意識(うしのなかまいしき)| 牧場はわが家であり職場、友情だって育ちます

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牛さんにも仲良しさんがいるし、とくべつ仲良しじゃなくても仲間を気遣う。だって、いきものだもの

いつも一緒にいる、幼なじみも

雌牛(めうし)も群になると、人間社会同様にヒエラルキーが形成され、序列はもちろん、気が合う、合わないという関係性も現れます。そして仲間意識や友情も…。

たとえば、ある牧場で同じ時期に産まれた2頭は、公共の育成牧場に入って何百頭という集団生活を送っていた期間も、2頭一緒に行動していました。その後、実家の牧場に戻って何回も出産をし、ベテラン乳牛となった今も、パドックに出た時はいつも仲よく寄り添っています。
牧場主によると「脱走など、悪いことをする時も2頭一緒。だから叱られる時も一緒」だそう。

いっしょに暮らす仲間だから心配もする

ある牧場主の話…。
「ある日の夕方、放牧へ出した牛が2頭だけ帰って来ない。おかしいなと思って見に行ったら、1頭が通路の途中に座り込んでいた。」
どうやら脚が痛くなって歩けなくなったらしい。そして、そのそばに別の1頭が立っている。
「“おまえ、心配でそばにいたのか。そうかそうか。偉かったな。もう大丈夫だから、先に戻ってれ”って言うと、安心したようにひとりで帰っていった。その2頭、普段は特別仲が良いわけでもなかったんだけど、置き去りにできなかったんだろうな」

牛は、情の深い生きものなのです。