同じ牛舎に母娘や姉妹、おば、姪、いとこなど、女系の家族親族がけっこう集結している
【聞いてみた】
乳牛は2歳前には初めての出産をして、お母さん牛になってからは、毎年仔牛を産で乳を出し続けます。それが乳牛のライフサイクル…。
ということは! 同じ牛舎に母娘や姉妹、おば、姪、いとこなど、女系の家族親族がけっこう集結しているのでは? 酪農家さんに聞いてみました。
「そういうことだね。うちにも、おばあちゃんとお母さんと娘の3代が一緒にいる牛房があるよ。でもお互いに母娘だと気づいている様子はないなあ。ごく普通の距離感だね。でも血縁なだけに気性や身体は似ているから、同じような行動をとる。それを見た時は、ああ血統だなと思うね」
どんな時に、親子だなと感じますか?
「たとえば搾乳デビューの時。初産の牛にとって、初めて入る搾乳室なんてまるで異世界だよね。おどおどしながらも初搾乳が終わって、きょとんとしている子がほとんどなのだけど、中には不安のあまり暴れだす子もいるのよ。そして、あれそういえば、この子の母親も怖がって鳴いていたねって思い出す」
ほかに家族らしい様子はありますか?
「ふしぎと姉妹は仲良くなるの。姉妹だとは知らなくても、なにか通じ合うものがあるんだろうね。いつも並んで餌を食べていたり、パドックに出したら寄り添って立っていたりする仲よしさんがいるのだけど、たいてい姉妹だわ」
もし牧場を通りがかって仲よく並ぶ牛さんを見つけたら…。それは見えない絆でつながった、お姉さんと妹かもしれませんね。