空き地の草原に見えても、牧草地である場合が。立ち入りは控えましょう|酪農のはなし

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ここはただの草原?いえいえ、酪農家が乳牛に食べさせるための牧草を栽培している牧草地

【酪農地帯へ旅行する皆さんへ】

人の姿がないと空き地にみえる?

夏の行楽シーズンになると、毎年必ず聞こえてくる酪農家さんたちの嘆き…。旅行者たちがデントコーン畑や牧草地に立ち入って写真を撮ったり、車で乗り入れたり。しまいにはレジャーチェアを持ち込んでピクニックをする人もいたとか。
きっと悪気はないのでしょう。人の姿がないものだから、空き地だと思ったのかもしれません。
緑の大草原を見たら、その中をお散歩したくなるでしょうし、牧草ロールがあれば乗ってみたくなるのが人情。SNS映えもします。

しかし道路沿いから簡単に車や徒歩で入り込めそうな草原は空き地ではなく、牛さんの飼料を栽培している牧草地である場合が大半。いずれにしても民有地か官有地で、勝手に入ってはいけない場所です。
「荒らすわけでもないのだから、ちょっとくらいいいじゃない」と思われるかもしれませんが、立ち入ってはいけない理由がちゃんとあります。それは、洗浄や消毒をしていない靴やタイヤで踏み込むと、害虫や病原菌を持ち込んでしまうおそれがあるからです。

家畜伝染病のきっかけは、ほとんど人や車両から持ち込まれる

じじつ、牧場に甚大な被害を及ぼしてきた口蹄疫などの家畜伝染病は、ほとんど人や車両から持ち込まれています。
靴やタイヤがきれいに見えても、行った先々で害虫の卵やウイルスを踏んでいるかもしれない可能性は、誰にも否定できないのです。
逆に、不用意に牧場に立ち入った人が、大腸菌O157に感染してしまう可能性もあります。

私たちJapan-Qualityのスタッフが牧場を取材する時も、必ず所定の入り口から入り、車両で消石灰を踏んでから訪問をします。そして事前に水洗いをした長靴で降り立ち、牧場スタッフの指示に従って消毒液や消石灰を踏んでから牛舎や牧草地へと向かいます。
取材を終えたあとも、その牧場の水道を借りて長靴の水洗いと消毒をして、車両も再び消石灰を踏んで退出しています。

病原菌を「持ち込まない」「広げない」「持ち出さない」。これが牧場のルールです。
ですから旅行者の皆さんも、たとえ柵や立ち入り禁止看板がなくても草地には立ち入らず、離れた場所から眺望や写真撮影を楽しんでくださいね。

ぜひ公式に旅行者を受け入れてくれる牧場へお運びください!

でもがっかりしないでください。公式に旅行者を受け入れてくれる牧場は日本各地にあります。それが「観光牧場」や「酪農教育ファーム認証牧場」や「牧場体験ツアー」。思う存分草地で遊べて、牛さんを間近で見ることもできます。

どうか皆さん、すべての牧場に思いやりをもって、素敵な旅を!