使われていないサイロや牛舎には、屋根がないものが多い。その理由とは。|酪農のはなし

「使われていないサイロや牛舎には、屋根がないものが多い。その理由とは。|酪農のはなし」のアイキャッチ画像

遺されている牧場施設を見て、かつてここにも牛がいたと思う

【見かけた】

牧場地域を走っていると、古い牛舎や塔型サイロを見かけます。
離農跡地にぽつりと佇んでいるものや、牧場敷地内に残されているものなどがあり、いずれもひっそりと過ぎ去った日々を映しています。

掲載写真は釧路管内弟子屈町で撮ったもの。コンクリートブロック積みのサイロと牛舎ですから、おそらく1970年よりも前のものと察せられます。
牧場の大規模化が進む以前としては決して小さくはない牛舎に、20~30頭の乳牛が繋がれていたはずです。
この写真のように半倒壊はしていても、完全には解体されず遺されている牧場施設を見るたびに、かつてここにも牛がいたのだと実感します。

それにしても、放置されている古い牛舎や塔型サイロは、なぜか屋根のないものが多いような気がします。長く風雪にさらされて、屋根から先に壊れていくから? そこのところを酪農家さんに聞いてみると…。
“なるほど”な事実が分かりました。

実は、使用していない牛舎や塔型サイロであっても、使用できる状態と判断されてしまうと固定資産税の対象となってしまうため、牧場主はあえて屋根を外して税対策をしていたのです。

そうまでして遺してきた理由は、先代たちの努力や歴史の証を消してしまうにはしのびなく、また費用をかけてまで解体撤去する理由もなかったからでしょうか。