個別居住の「繋ぎ牛舎」は、酪農家の目が行き届き、若手もお局様も平等なくらし。
牛舎の様式は大きく2種類あり、こちらは個室タイプ
牛舎様式は大きく2つに分けられます。1つは牛の居場所が個別に仕切られている「繋ぎ牛舎」で、もう1つは屋内で放し飼いをする「フリーストール牛舎」です。「ストール」とは本来「肩掛け」の意味で、「繋ぎ牛舎」が肩掛けのような柵で牛を固定していることに由来し、牛舎設備では「区切り柵」全般をストールと呼んでいます。
国内の約8割を占めるのが「繋ぎ牛舎」
そして現在国内の約8割を占めるのが「繋ぎ牛舎」。その名の通り、ロープやチェーンで牛さんを個室の枠に繋ぎ留めたり、「スタンチョン」と呼ばれる肩掛け柵で個別スペースに据えたりしています。
「繋ぎ牛舎」も2種に分かれます。人が動く通路に面して、牛が顔を向けて並ぶため給餌がしやすい「顔合わせ」タイプと、お尻を向けて並ぶため搾乳をしやすい「尻合わせ」タイプの2種です。いずれも、いつも牛が同じ場所にいるので、一頭一頭を観察しやすいことが利点です。
繋ぎ牛舎は、プライベート空間でもある
また人間がそうであるように、牛もプライベート空間があるとホッとします。
「フリーストール牛舎」は、いってみれば大部屋同居ですから、若い牛がお局サマ牛の圧力で肩身を狭くすることもあります。一方、「繋ぎ牛舎」は個室型なのでおおむね平穏です。 しかし、従来型の「繋ぎ牛舎」は通路が狭いため機械を導入しにくく、搾乳や給餌、ふん尿処理作業等に時間がかかってしまう難点がありました。そこで近年は、自動型機械が入り省力化を実現する「新鋭の繋ぎ牛舎」も新設されています。
このように牛にとって良い面が多い「繋ぎ牛舎」ですが、繋ぎっぱなしにすると牛が運動不足になったり、ストレスを溜めたりすることが目下の課題です。それらを解消しようと、適度に外のパドック(運動場)へ出している酪農家もいます。