ビニールシートにタイヤの重し。実は食べもの?中身は牛さんが大好きなお漬け物です。
「バンカーサイロ」は、牛にとっての“食品工場”
「バンカーサイロ」とは傾斜面や平地に設けた箱形のサイロで、主にコンクリート製。3面だけ壁があるプールのような形状をしています。平均的なもので高さ約2m×長さ27m×幅7m程度あり、そこからさらにエプロン(広場)も広がるので、容量は800~1,000立方メートルほどにもなります。上の写真は飼料が詰め込まれ、発酵貯蔵中のバンカーサイロです。
作られるものは「サイレージ」という発酵食品
初夏の一番草、真夏から初秋にかけての二番草、三番草。そして秋のトウモロコシ。それぞれの収穫時期ともなれば、刈り取ったばかりの飼料を山積みにしたダンプカーが忙しそうに走り回り、道路上にはフレーク状になった牧草やトウモロコシが舞い散る…。酪農地域の風物詩です。そしてダンプカーの行く先は、各牧場や飼料生産事業所の「バンカーサイロ」。サイレージ(発酵飼料)を作るための施設です。
サイレージの作り方
バンカーサイロでサイレージを作るには、収穫時から特殊な農業機械を利用しなくてはならないため、外部業者に委託する場合が大半です。牧草やトウモロコシの収穫期ごとに、ハーベスターという機械で細かく切り刻みながらダンプカーに積んで、牧草地や畑からバンカーサイロへと運びます。そして詰め込み作業。サイロ内に積んだ飼料に重機が乗り、ギュウギュウと踏圧して空気を抜くことがよい発酵を促すポイントです。しっかりと踏圧をしたらビニールシートをかぶせ、タイヤなどの重しを置いて空気の侵入を防ぐと発酵が始まります。そして1~3カ月おくと有機酸と栄養素をたっぷり含んだ牧草サイレージやコーンサイレージができ上がります。
「スタックサイロ」という簡易版もあります
一方、バンカーサイロと似たもので「スタックサイロ」という簡易的なサイロもあります。これは地面にシートを敷き、そこへ切り刻んだ飼料を置いて側面や上部を押し固め、上からさらにビニールシートをかけて、土やタイヤをのせて発酵させるタイプです。
どちらのサイロも、敷地面積さえあれば大量の発酵飼料(サイレージ)を生産貯蔵できるため、飼養頭数が多く、毎日たくさんの飼料を必要とする牧場が利用しているようです。