牛の足| 牛さんの足には二股の蹄(ひづめ)がある

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真ん中から2本に分かれた偶蹄だから、坂道歩行が得意です

「有蹄類(ゆうているい)」の「偶蹄類(ぐうているい)」

さて皆さん、牛の足もとはどのような形状か知っていますか? 「蹄(ひづめ)があったような」と思い浮かべた方は大正解!牛には真ん中から二股に分かれた蹄があります。
ちょっと難しい話になりますが…。
牛や馬など蹄を持つ動物は「有蹄類(ゆうているい)」に属し、さらに蹄が奇数の「奇蹄類(きているい)」と偶数の「偶蹄類」に分類されます。牛は2本(偶数)の蹄を持つので「偶蹄類(ぐうているい)」。4脚とも2本の蹄でつま先立ちをするようにして、地面にかかとを着けずに体を支えています。

硬く厚い蹄へと進化させてきた

シカやキリン、イノシシ、カバ、ラクダも同じく「偶蹄類」ですが、馬は蹄が分かれておらず単体なので「奇蹄類」に属します。
牛も遠い先祖の時代には5本指だったようですが、森から草原に進出すると身を隠せなくなったため、より速く走って敵から逃げる能力が必要となりました。そこで牛たち草食動物は、各足の指数を5本から2本に減らして頑強にし、さらには指を硬く厚い蹄へと進化させてきたのでした。

蹄は伸びるので、ケアが必要

馬のスピードにはかなわないものの、牛は草原を速く走ることもできますし、何より偶蹄は斜面や坂道歩行に適しているため、丘陵地や山岳では器用な身のこなしができるという特性もあります。また浮いたかかと部分には「副蹄」と呼ばれる小さな爪のようなものがあり、普段の歩行では使いませんが、岩場などでずり落ちないような働きをします。蹄は伸びるので、年に2回程度、削蹄師(さくていし)に削蹄(さくてい)をしてもらいます。

牛の足には、進化の理由と生き抜くための機能がちゃんと備わっていました。