もともと日本の酪農は輸入牧草に依存してきましたが、これからは争奪戦も?
【聞いてみた】
今年6月下旬~7月上旬の長雨は、全国で牧草を自給する酪農家に大きな影響を与えました。天候不順のせいでベストなタイミングで収穫ができず、牧草が伸びすぎてしまったために、本来含むはずの炭水化物やたんぱく質などの栄養分の減少が懸念されているのです。
栄養不足の牧草を給餌していては、牛たちが出す乳量が落ちてしまいます。言い換えれば、収入が減るということ。牧草の品質は酪農経営を左右する死活問題です。
また栄養不足の牧草がもたらす影響は、乳量の減少だけではありません。伸びて硬くなった牧草は消化しにくいので、乳牛の体調が気がかりですし、栄養不足を補おうと濃厚飼料の割合を極端に増やせば、カルシウム不足や胃の機能低下を引き起こす心配もあります。
そうしたことを踏まえ、栄養不足の自給牧草をあきらめて、輸入牧草を購入する考えの酪農家が見られると各地の新聞が伝えています。この様子だと輸入牧草の争奪戦も起こりそうな雲行きです。
輸入牧草の価格は、自給牧草の経費の2倍近くもする高額なものです。それでも背に腹は代えられぬと、全国各地の酪農家が輸入牧草を購入し、なるべく乳量を減らさず1年を乗りきる構えを見せています。
この秋以降、スーパーやコンビニにいつもの牛乳が当たり前のように並んでいたら…。
それはきっと、全国の酪農家さんが牛の栄養を補う工夫をしたり、飼料会社に掛け合って輸入牧草を確保したおかげかも。
そんな努力が陰にあることを、ちょっとだけ思い出してください。