一番草(いちばんそう、いちばんぐさ)| 最初の牧草収穫は、その年の経営を左右する大一番

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酪農地域で「一番草」といえば、泣く子も黙るウルトラ重要ミッション。刈った牧草はテッターという機械で撹拌し乾燥させます。

その年最初に収穫する牧草を「一番草」と呼びます

地域によっては牛が食べる牧草を酪農家が育て収穫しています。ひがし北海道では、6月中旬から7月上旬がピーク。
普段の搾乳や牛の世話をしながら牧草収穫もこなすこの時期が、酪農家にとって1年で最も多忙な日々です。

「あの子のおうちは今、イチバンソウだから」

普段は優しい牧場主が愛妻を「なにやってんだー!」と怒鳴る。都会育ちの妻がトラクターを乗り回し、応援に来た近所の若手を仕切る。子供の運動会など見たことがない。ドラッグストアには、「農家さん応援セール」の栄養ドリンクが山積みになる。学校の教師さえ、「あの子のおうちは今、イチバンソウだから」と、電話連絡をためらう。 それが、「一番草」なのです。

牛の飼料となる一番草のよしあしが重要

なぜそんなにも重要かというと、牛の飼料となる一番草のよしあしが、乳量や乳質を決定するから。一番草の出来が、その年の経営を左右するということです。
万一、牧草収穫と飼料作りで失敗してしまうと、飼養頭数100頭クラスの牧場で100万円単位の減収になるとも言われています。

牧草が最も栄養分を蓄えたベストなタイミングで収穫をしたい。けれど、刈った後で雨に降られては草の質が下がってしまうし、雨を気にして収穫期を逃してしまえば、草は硬く伸びすぎて牛が食べなくなる。天気予報はどうだ? さあ、どこで勝負をかけるか。

牧場主は経験と勘を働かせながら、短期決戦の「一番草」収穫に挑みます。