熱を加えるとチーズがとろけるワケ
~チーズのたんぱく質は鎖状~

チーズといえば、ピザやグラタンなどのアツアツの料理でとろりと溶けて、おいしそう~!なイメージが浮かびますね。ところが、チーズには溶けるチーズと溶けないチーズがあるのをご存知ですか?
 
その違いを生み出しているのは、チーズを構成するたんぱく質である「カゼイン」。一般に、たんぱく質は加熱すると硬くなる性質があります。卵がゆで卵になったり、肉を焼くと表面が硬くなったりする状態です。しかし、チーズの原料である生乳に含まれるたんぱく質「カゼイン」は、鎖がつながったような網目状の構造をしているので、加熱すると“軟らかくなってのびる”という珍しい性質をもっています。そう、毛糸で編んだセーターをひっぱると伸びるようなイメージです。
 
生乳を乳酸菌や酵素で固めて発酵・熟成させてできるナチュラルチーズは、加熱するとカゼインの鎖がほぐれて伸び、それが独特のとろりとした食感になります。
一方、加熱しても伸びないのがプロセスチーズ。数種類のナチュラルチーズを溶かして、乳化剤で固めて作られるプロセスチーズは、乳化剤によってカゼインの鎖が短く切られ、別の構造に変わってしまうため、再び熱を加えても伸びなくなるのです。
 
プロセスチーズの中にも、溶けるタイプはあります。ピザトーストなどに使われる、いわゆる「とろける(スライス)チーズ」です。これがナチュラルチーズと同じように熱を加えると溶けるのは、原料となるナチュラルチーズの配合や製造工程を工夫したり、通常のプロセスチーズとは別の乳化剤を使ったりすることで、網目構造を壊さないように固めているためなんです!
 
溶けるタイプと溶けないタイプ、見た目には見分けがつきませんが、手で裂いてみると違いは明白!とろけるスライスチーズは、手で裂くとスーッと一定方向にきれいに裂けるからびっくりです。これはたんぱく質の鎖がつながっているからなんですね。今度食べるときは、ご自分でぜひお試しを!もちろん、味の違いも楽しんでくださいね。
 

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