経産牛(けいさんぎゅう)| 出産を経験しているお母さん牛の肩書

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対して、1度も出産していない若牛は、ひとくくりに未経産牛と呼ばれる

牧場では「お母さん牛」と呼ばれています

1度でも仔牛を出産し、乳を出すようになった乳牛は「経産牛」という名前で大別されます。とはいえこれはあくまでも公式な呼称。どの牧場でも親しみを込めて、「お母さん牛」と呼ばれているようです。写真は、繋ぎ牛舎で飼養される経産牛たち。乳房が大きく毛並みはつやつやで、みんな美人お母さんです。

牧場にとっては利益を生んでくれる戦力そのもの

牧場でも普段はあまり使わず、消費者にいたってはほとんど聞くことのない「経産牛」。しかしこの呼び名と区別には、じつは大きな意味があるのです。経産牛とは生乳を生産できる牛のこと。牧場にとっては搾乳で利益を生んでくれる戦力です。ですから牧場のプロフィール等には、「飼養頭数1,300頭 うち経産牛760頭」とか「経産牛100頭、育成牛60頭」など、経産牛の頭数が分かるように記されています。

経産牛は最初のお産をしたあとも、さらに2~3回ほど出産を繰り返しながら泌乳をし続けます。新人さんもいればベテランさんもいるというわけです。
対して、出産経験がまだない若い牛は「未経産牛(みけいさんぎゅう)」と呼ばれます。出産経験のあるなしで属性分けをするのは、乳牛特有の区別といえます。

ライフサイクルの過程において呼び名が変わる

そもそも乳牛はライフサイクルの過程においても呼び名が変わっていく動物です。
経産牛であると同時に、泌乳している10か月間は「搾乳牛(さくにゅうぎゅう)」で、次の出産に控えて搾乳を休む約2か月の産休期間は「乾乳牛(かんにゅうぎゅう)」とも呼ばれます。

農林水産省の畜産統計調査(平成30年)によると、日本で飼養されている乳用牛132万8,000頭のうち、経産牛は84万7,000頭。そして未経産牛は48万頭。飼養頭数の64%が経産牛という計算になります。
次世代を産みながら牧場の利益生産も担う経産牛。彼女たちは牧場にとって大切な存在です。
牧場の人たちがよく口にする「うちのお母さん牛たちが…」という言葉に、感謝の気持ちを感じます。