夏は熱中症予防のために、鉱塩を十分に用意している
塩欠乏を防ぐために
すべての動物にとって塩分は生命維持のための大切な成分。牧草由来の粗飼料を主食とする乳用牛は、そのままでは塩分を摂取しにくいため、飼料に塩分を配合したり、「鉱塩」という固形飼料を与えたりして塩欠乏を防いでいます。そして牛が鉱塩を舐めて塩分摂取することは「舐塩(しえん)」と呼ばれます。
おやつのように見えて、大切な飼料
鉱塩は、塩分やミネラル、糖みつなどを混ぜて固形化したブロック状のものです。牛は塩が好きですし、鉱塩はおいしく作ってあるので大好物。おやつのように見えますが、乳用牛の健康を考えたミネラル成分も配合されているので、やはり大切な飼料といえます。写真は、つなぎ牛舎の鉱塩入れ。たくさん舐めて減ったのでそろそろ補充ですね。
特に夏季は切らさないように補充
ほぼ個別に設置されるつなぎ牛舎の鉱塩も、フリーストール牛舎や放牧地に置かれる大きな鉱塩も、牛たちが舐めてどんどん減っていきます。牧場スタッフは鉱塩を切らすことがないよう、特に夏季は気を付けて補充しています。牛が塩欠乏になると、柵を舐めたり汗を舐めたり、土を食べるなどの塩欲求行動を表すそうです。
なんと飲食店の入り口にある盛り塩のルーツも・・・
ところで、飲食店が入口に盛り塩をしている光景を見かけますが、あの風習も牛の舐塩行動が由来だということをご存知でしたか? 平安時代、縁談を待つ女性宅が、牛車に乗った男性貴族を立ち寄らせようと、牛を足止めするために玄関先に塩を置いたのが始まりだとか…。