実習はお試し体験の場、研修は本気の酪農人を育成する場
各地域に受け入れ制度があります
現在日本は、酪農業界の人材不足を解消しようと、各地域で酪農実習生や研修生の受け入れ制度を設けています。受け入れ組織の窓口は主に自治体やJAで、酪農業を体験したり学んだりしたいと応募する人を、地域の牧場へ派遣するなどサポート全般を行います。
酪農実習と酪農研修の違い
酪農実習の期間はだいたい数週間から1カ月程度。実習先の牧場で、搾乳や給餌、仔牛の世話など、一通りの仕事を現場で体験します。短期間ですので、酪農地域の暮らしや牧場の仕事を知るお試し期間といったイメージです。
一方、酪農研修は酪農実習を終了した人が、酪農業に就くために必要な知識や技術、作業をさらに習得する場です。期間は数カ月から1年、場合によっては3~4年まで延長しながら、研修先の牧場で働くことができます。
研修終了後には、牧場従業員や酪農ヘルパーなど、酪農業に就くための就労支援も得られるので、酪農研修は牧場勤務や将来的に就農を考える人たちのスタート地点といえます。
酪農実習生や酪農研修生の大部分は20~30代の男女
実習や研修の間は、受け入れ組織が持つ宿泊施設やアパートで生活をするほか、牧場に住み込んで実務にあたるスタイルもあります。実習生は宿泊費が不要な代わりに、手当は支払われないことがほとんど。しかし研修生は学びながら戦力として働くため、ほとんどの場合、月額150,000~180,000円程度の手当が支払われています。
実習生も研修生も実働時間は8時間程度。休日は実習・研修生仲間や地元酪農家たちとの交流会もあるので、ホームシックにかかることなどめったにないそう。日本の各地で、農業とはまったく縁のない生活をしていた人たちが、それぞれの興味や夢を携えてやって来て…。お母さん牛のたくましさや、じゃれてくる仔牛のけなげさを実感しながら、人生の基礎を築いてゆきます。