今の私と、私のレシピ。原点にあるのは、忙しい母が作ってくれた家庭料理

JQスタッフ
満留先生は料理教室の講師もされていますね。

満留先生
そうなんです。私が生徒さんに一番お伝えしたいのは、「食は楽しい」ということです。食べることも、作る事も楽しいんだ、と。それには2つの役割を感じていまして、料理研究家としてレシピを考案することが1つ目です。ですが、レシピを簡潔に書きあげて、正確な分量や作り方を伝えられたとしても、調理のコツまではうまく伝えきれない場合があって、そこを補える場面が2つ目の料理教室だと考えています。
料理教室では私の考案したレシピを生徒さんといっしょに調理して、流れやポイントなどを直接お伝えできて、しかも味の感想や作り方に対する生の声も聞けますので・・・。ですから、レシピ開発と料理教室講師の仕事の両方を大切にしています。

JQスタッフ
レシピとともに、調理のコツまで伝授する。その効果は大きいのでしょうね。

満留先生
そうですね。料理って難しいことじゃないし、楽しいことなのね、とたくさんの人にそう実感していただけることが私の願いです。

JQスタッフ
お話を聞いていると、満留先生の料理教室は楽しそうです。

満留先生
はい。私の教室は堅苦しくなくて、和気あいあいとにぎやかな雰囲気ですね。生徒さんは家族のごはん作りを担う主婦の方がほとんど。いままで自己流だったけれど、一度ちゃんと基本を学んでみようとか、料理のレパートリーを増やそうとか、そう考えて来られる方が多いようです。なので、今さら聞くのは恥ずかしいかなって思うことでも、何でも聞いてくださいねと言っています。

JQスタッフ
料理教室で、よく質問されることはどんなことですか。

満留先生
そうですね…。乳製品についていえば、クリームを泡立てる方法はよく伝えますね。クリームは目的や用途によって、七分立て、五分立て、三分立てなどと泡立て方が違うのですが、どの固さであっても基本は同じ。ボウルの下に氷水を当てて冷やしながら、ゆっくり時間をかけて泡立てることが重要です。そうすることで空気をたっぷり含み、ふんわり口当たりがよく、時間が経っても分離しにくいホイップクリームができあがります。ところが、クリームって常温の方が短時間で簡単に泡立ってしまうんですよ。だから氷水を使わなくても大丈夫!という方が多くて、「それは間違いです。氷水は必要なんですよ」って言うと、皆さん「知らなかったわ~」って(笑)。

JQスタッフ
満留先生のレシピは、食材も工程もシンプルだから誰にでも作りやすく、それでいてしっかりおいしいと定評がありますね。

満留先生
ありがとうございます。やはり、料理の楽しさを通して「食は楽しい」と感じていただくためには気軽にトライしてもらうことが大切ですよね。ですからレシピも、「省けることは省く」ことを第一に考えて作ってあります。レシピが複雑だと忙しい毎日では取り入れにくいですよね。だから私のレシピは、しなくてもよいことはしない。入れなくてもよいものは入れない。おいしさへまっしぐらの“近道レシピ”なんです。(笑)

JQスタッフ
そのスタンスにたどり着くにいたった、理由は何でしょう。

満留先生
たぶん、私の生い立ちが原点だと思います。私が子どものころ、家がレストランを経営していまして、当然、昼食や夕食時が一番忙しいのですが、母はいつも手作りお総菜を作り置きしてくれていました。大豆の五目煮とか、ひじき煮、青菜のおひたしなど。あとは私が肉や魚さえ焼けば主菜と副菜のそろった一食が完成する、といったように、バランスよく栄養が摂れるよう考えられていましたね。私が管理栄養士になって、そのことに気付きました。母は空き時間を見つけては、せっせと作っていたんだと思います。今思うと、身近にある食材で家族の健康を考え、上手に工夫した料理ばかりで…。そうした背景もあり、「食の大切さ」を考えることがベースにあるのかもしれません。

JQスタッフ
満留先生を育てたお母さんの手料理。どんな味が記憶に残っていますか。

満留先生
ミルク料理で思い出すのは、さつまいものポテトグラタンです。故郷が宮崎県なので特産のさつまいもを乱切りにして、たまねぎや鶏肉も入って。じゃがいもと違って、さつまいもの甘さとホワイトソースが溶け合ったクリーミーな味…。懐かしいです。 ミルクチャウダーもよく作ってもらいましたね。たっぷりの野菜とベーコンが入っていて、これも大好きでした。

JQスタッフ
家庭の味や手作り料理は、体だけではなく、人生まで作る大切なものなのですね。でも、「ちゃんと作らなくちゃ」と思い詰めると、毎日がつらくなっちゃいます。

満留先生
あっ、そこが落とし穴なんです(笑)。“ちゃんと上手に”と最初からハードルを上げてしまうと料理が億劫になってしまいます。たくさんの食材を使おうとか、見た目に豪勢にしようとか、頑張りすぎる必要はないと思うんです。たとえば、ご飯と味噌汁に、残り野菜で野菜炒めを作るだけでも“ちゃんとした手作りの一食”なんです。ささやかであっても、自分の手で切って、煮たり焼いたりする。その行為こそが、かけがえのないものじゃないでしょうか。

JQスタッフ
かけがえのないもの。それは、家族や自分への愛であり、生活習慣でもあり…。たかが食、されど食。う~ん、奥深い。

満留先生
大切なのは気持ちだと思うんです。“作りたい”という気持ちであったり、“誰かのために”または“自分のために”という気持ちであったり。“おいしいものを食べたい”とか“おいしいものを食べさせたい”とか“食材をおいしく調理したい”とか…。そうこうしているうちに、いつの間にか段取りもうまくなって“ちゃんと上手に”ができるようになっているものです。 そうやって日々の食事を作って、暮らしていく。楽しくて愛おしい、いとなみだと思います。

JQスタッフ
満留先生のお話を聞いていると、なぜか料理を作ってあげたい人の顔が浮かんできます。そして、気負わず楽しくキッチンに立てそうな気がしてくるから不思議です。ありがとうございました。

 

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インタビュイー・Profile
料理研究家 管理栄養士 満留邦子(みつどめくにこ)先生

宮崎県出身、東京都在住。大学の家政学部を卒業後、料理研究家のアシスタントなどを経て2000年に独立。雑誌、新聞などへのレシピ連載のほか、料理教室講師や企業のレシピ開発、コンサルティングなど幅広く活躍。
HPはこちら→http://www.mitsudome.jp/
 

満留先生のお料理本はこちら

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